2021.11.03 [イベントレポート]
「子供たちの視線をたえず意識しながら自分を律していた」10/31(日) トークショー『仮面ライダー』

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©2021 TIFF

10/31(日) ジャパニーズ・アニメーション部門の特集「「仮面ライダー」の未来へ」のイベントとして、仮面ライダー1号を演じた藤岡弘、さんをお迎えし、トークショーが行われました。
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藤津亮太PA(以下、藤津PA):それでは早速ゲストのご紹介です。仮面ライダー(ほんごうたけし役)の藤岡弘さんどうぞよろしくお願いいたします。では、藤岡さんさっそく一言ご挨拶をお願いいたします。?

 
藤岡弘、さん(以下、藤原さん):こんにちは、藤岡弘、です。この東京国際映画祭にお招きに預かりありがとうございます。今日は仮面ライダーの50周年記念上映ということで本当におめでとうございます。

 
藤津PA:それでは早速藤岡さんにお話をうかがっていきたいと思いますが、まずは東京国際映画祭はじめてのご参加ということですが登壇したご感想から伺えればと思います。?

 
藤岡さん:そうですね、こうゆう世界的に閉塞感のある中でこうやってまた、感動とか希望を与える、映像は国境も民族も超えて多くの人々に夢や希望を与えるわけですからまたそれが始動したようか感じがいたします。やっぱり、映画は我々を勇気や正義や希望や夢やそういうものを伝えていただける、素晴らしいものなのでこれからまた活性化していくことを願っております。また、50周年の仮面ライダー私も今思うと50年もたっているということを改めて感慨深く感じております。

 
藤津PA:先ほど皆さんには仮面ライダーの映画を3つ観ていただいたわけですけれども、撮影中大変なご苦労があったということをいろんなところで語られていると思うんですが、その過酷な撮影をやり遂げるその支えになったものは藤岡さんの中ではなんだったのかを伺えますか。?

 
藤岡さん:やっぱり、私の中では子供の視線、子供ですね。子供は未来を作る希望の星というか宝です、人類の。子供に与えるメッセージ、愛と勇気と正義と希望と夢という、これを伝えるべくヒーローの必要性を感じた時に、やっぱり大きな責任をともなうなと思ったときにやりがいと生きがいを非常に感じ、こどもの視線にものすごく勇気をもらいましたね。あの輝く視線、目が点になって私を見続けるあのこどもたちの真剣な目がやっぱり私にとってはすごい勇気となり、大きな支えになりましたね。

 
藤津PA:多分、今日会場を埋めている方も当時、藤岡さんに視線を送っていた方が多いんじゃないかと思いますが。当時からそうであるという方、拍手をいただけますか?もうひとつ質問ですが、藤岡さんにとって本郷猛というのはどんな男なんでしょうか。たとえば僕ら世代からすると、ほぼイコールにみえてしまうこともあるんですけれど、いかがですか距離感というか。?

 
藤岡さん:そうですね。当時、私が演じた本郷武は非常に改造された人間、つまりもう二度と人間にもどれない、悲しみと苦しみを背負ったヒーローだったんですね。そこでこの地球を滅ぼそうとする悪の組織と煥然と戦いを挑み、立ち向かう正義の戦士だったわけです。そこにも僕はすごい意義を感じました。今思うと私が百ヶ国以上いろんな旅をして体験をしてた中での難民運動、紛争地でボランティア支援活動をした経験は今思うとこの本郷猛の生き様と重なり合う部分を非常に感じました。それが僕の中で、仮面ライダーと人間の持っている思いが重なってくるのかなって。仮面ライダーと共に私を成長させていただいたというか、共に歩みながら僕も学び考えさせられ、そして、子供たちの視線をたえず意識しながら重い荷をどんどん背負っていきながら自分を律していきました。そういう流れがまた私を作っていただいたので、非常に感謝しておりますね。
時代も仮面ライダーをやった当時1971年、日本はまだ発展途上でした。日本は不自由な中で悩みながら、多くの諸先輩方が苦労しながらこの国を立て直すために頑張っていた当時のことを思います。本当にこどもたちは鍵っ子と呼ばれて胸に鍵をもって。お父さん、お母さんが徹夜しながら日本のために働いているそんな時代でした。そういう時代の流れを感じますと、仮面ライダーは時代と共に成長させていただいたと思います。

 
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©2021 TIFF

 
藤津PA:人生と重なり合うようにして、本郷猛を理解したというか、関わり合って来たというか、そういうことでしょうか??

 
藤岡さん:昭和、平成、令和とね、50年という、その当時1才の子どもは50才、10才の子どもは60才ですよね。親から子へ、子から孫へ、家族で語り合えるヒーローというのは仮面ライダーだからこそだと私は思います。そう思うと本当にすごいな、と。またこれは本当に今思うとこの50年続いた要因がそこにもあるのかな、という感じがしますね。

 
藤津PA:本日はサプライズでビデオメッセージが届いているということなので、皆さんで観ようかと思います。では、ご覧いただきましょう。


 
藤津PA:ジェームズ・キャメロン監督からのメッセージでしたが、どういう形で親交を深められているのでしょうか??

 
藤岡さん:そうですね、もう20数年になりますか。『タイタニック』を、映画を作る前からの付き合いなんです。一緒に食事をしたり、私の武道を見ながら、ずっとそれを撮り続けたりね。そういうこともありましたけど、それからずっと温かい友情を今でも続かせていただいておりまして、私の大切な大切な友人の一人でもあります。

 
藤津PA:藤岡さんにここでちょっと大きい質問を伺ってみたいのですが、藤岡さんは僕の中では”前進し続ける方”という印象がありまして、これからの夢というのをお聞かせいただければなあと思うんですが。

 
藤岡さん:もう夢はいっぱい今も持ち続けていまして。それが私の生きる生きがいと言うか。夢を追い続ける、ロマンを追い続ける、それが私のこの体がこうやって今でも応えてくれているような気がいたします。夢はですね、やっぱり国境も民族も越えて世界に伝わるような感動と夢、感動、勇気、希望を与えるような、そういう映像に参加したい。私は日本にこうやって体を造っていただき、先祖も日本。そしてその中でやっぱり日本のスピリッツ、武士道精神、そして家族の絆の深さ、こういうものを私は映像を通じて全世界に伝えられたらな、と思っています。サムライ魂というか。そういうのを感動的にですね、家族のあり方とか、親子の繋がり、そして親から子へ、何を託し、何を委ね、何を残すかというような内容とそういうものを映像で届ければいいな、と思っています。
ちょうど今、私の歴史を見たいということで、私の家族の一員である子どもたちがちょうど今、そこに来ているのですが(会場から拍手)。そうやって子どもが私の背中を見ながら、私の歴史を知ろうとしている子どもたち、親としての大いなる責任があるわけですね。だからこれから子どもにこの未来を託して行く私どもの責任があるので、そういう目を持って、これからも映像を通じて世界にそういう大事な家族の絆というようなそういうものを日本の伝統、文化、歴史を秘めた映像なんかを届けられたらな、という夢を持っています。

 
藤津PA:今回の東京国際映画祭は「越境」というテーマだったので、図らずも藤岡さんのお話と重なる部分が多々あるところかなと今思いました。最後に仮面ライダーを愛する全ての世代の方にメッセージを頂けたらと思います。よろしくお願いします。?

 
藤岡さん:仮面ライダーを愛する世界中のファンの皆様、本当に今日はこのような時をいただきまして感謝しております。仮面ライダーは世界の子供たちの求めて止まない存在であります。ヒーローは絶対に、永遠に私は多くの子供たちに夢を与え続けてもらいたいという夢を持っています。やっぱりこの映像によって与えられる影響力は国境も民族も超えて、この未来を継ぐ子供たちにあるわけです。そう思うと非常に夢を持ってこの仮面ライダーが大事な存在であるということ、それを知っていただきたい。この仮面ライダーを誕生させた偉大なる天才、石ノ森章太郎先生の思いが。ある時、「先生、仮面ライダーはいつ死ぬんですか?」と言ったら、「何を言っているんだ。仮面ライダーは死なない。永遠なんだ。」(拍手)この思いが今もついていくと私は信じております。やっぱりこの仮面ライダーのヒーロー像は世界の子供たちの希望の存在なんですね。そう思うと、仮面ライダーは永遠なり。そして仮面ライダーはいつも皆さんのそばにいる。そして、仮面ライダーは永遠に走り続ける。ま、キャメロンも言ってくれましたよね。私はそれを信じております。仮面ライダーは愛と正義と勇気と希望と夢を伝え続ける永遠のヒーローとして心ある皆さんによってこれを作り続けて頂きたいと心より願っております。私はこれから素晴らしい時代がやってくるんじゃないかなと、そう思っております。

 
藤津PA:ありがとうございます。

 
藤岡さん:仮面ライダーで得て、仮面ライダーによって心に灯された、心に響いた感動は、永遠に子供たちの心に燃え続け、どんな困難な、そしてまたどんな曲難にあってもそれを乗り越える勇気、生き抜いてもらいたいと。これを思い出しながらあらゆる困難を超えて生き抜いてもらいたいと私は心より願っております。その勇気、希望、夢を与える仮面ライダーは永遠ということです。ヒーローは永遠なり。ありがとうございました。

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