本年度審査委員

コンペティション部門国際審査委員

審査委員長

イザベル・ユペール

©︎Peter Lindbergh, courtesy Peter Lindbergh Foundation, Paris

イザベル・ユペール

Isabelle Huppert

女優

多数の賞に輝く舞台・映画女優。『レースを編む女』(77/クロード・ゴレッタ監督)で英国アカデミー賞新人賞。『主婦マリーがしたこと』(88/クロード・シャブロル監督)、『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』(95/クロード・シャブロル監督)でヴェネチア映画祭女優賞。『ガブリエル』(05/パトリス・シェロー監督)を含む全キャリアで、ヴェネチア映画祭特別獅子賞(生涯功労賞)。『ヴィオレット・ノジェール』(78/クロード・シャブロル監督)、『ピアニスト』(01/ミヒャエル・ハネケ監督)でカンヌ映画祭女優賞。
『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』(95/クロード・シャブロル監督)、『エル ELLE』(16/ポール・バーホーベン監督)でセザール賞。同じく『エル ELLE』でゴッサム・インディペンデント映画賞、ゴールデングローブ賞、インディペンデント・スピリット賞のほか、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
舞台賞では、その功績を称えられモリエール賞およびローマの「XVI Prix Europe pour le Théâtre」を受賞。
モーリス・ピアラ、ジャン=リュック・ゴダール、マウロ・ボロニーニ、マルコ・フェレーリ、マイケル・チミノ、アンジェイ・ワイダ、ジャック・ドワイヨン、タヴィアーニ兄弟、カーティス・ハンソン、ハル・ハートリー、リティ・パン、デヴィッド・O・ラッセル、ブリランテ・メンドーサ、ホン・サンス、マルコ・ベロッキオなど、多数の監督の作品に出演している。
舞台出演作には、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックで上演された「4.48 Psychosis」、「Quartet」(ボブ・ウィルソン演出)、「Phaedra(s)」(クリストフ・ワルリコフスキ演出)。オデオン劇場で上演され、欧州ほかの都市も巡業した「メデア」、「ヘッダ・ガーブレル」、「A Streetcar」(クリストフ・ワルリコフスキ演出)。シドニー・シアター・カンパニー、ニューヨーク・シティ・センターでのリンカーン・センター・フェスティバルで上演された「女中たち」(ベネディクト・アンドリューズ演出、ケイト・ブランシェット共演)。ロンドンの国立劇場で上演された「メアリー・ステュアート」。そのほか「偽りの告白」、「オーランドー」(ロバート・ウィルソン演出)、「Mary Said What She Said」(ロバート・ウィルソン演出)、「ガラスの動物園」(イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出)、「桜の園」(ティアゴ・ロドリゲス演出)がある。
また、レジオン・ド・ヌール勲章シュバリエ章、メリット勲章オフィシエ章、芸術文化勲章コマンドゥール章を受章。
第62回カンヌ映画祭では審査委員長を務めた。

あいさつ
第34回東京国際映画祭のコンペティション国際審査委員の委員長に選ばれたことを光栄に思います。東京国際映画祭は世界で最も重要な映画祭の一つであると、私は大いに尊敬してきました。素晴らしい文化と堂々たる映画史を誇る国、日本に再び迎え入れてもらえる喜びを感じています。
これまで世界各地の映画祭で審査委員長を務めてきましたが、様々なバックグラウンドを持ちながら映画への愛でつながった才能ある仲間たちと自分の視点を共有する経験はいつも刺激的です。今回の映画祭の成功をお祈りするとともに、他の審査員の皆さんと一緒に劇場で今年の入選作を拝見することを楽しみにしています。本当に何と幸運なことでしょう。

審査委員

青山真治

Ⓒ池田正之

青山真治

Aoyama Shinji

映画監督/脚本家

1964年福岡県北九州市出身。96年、『Helpless』で長編映画デビュー。その後も『チンピラ』(96)『冷たい血』(97)『シェイディー・グローヴ』(99)など精力的に作品を送りだす。2000年の『EUREKA ユリイカ』で、第53回カンヌ映画祭コンペティション部門に招待され、国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をW受賞。以降も、作家・中上健次を巡るドキュメンタリー『路地へ 中上健次の残したフィルム』(00)、カンヌ映画祭コンペティション部門出品『月の砂漠』(01)、ベルリン映画祭出品『私立探偵濱マイク・名前のない森』(02)、東野圭吾原作ミステリーの映画化に挑んだ『レイクサイド マーダーケース』(04)と作品を重ねる。05年には、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』でカンヌ映画祭“ある視点”部門へ、そして07年の『サッド ヴァケイション』(07)ではヴェネチア映画祭オリゾンティ部門出品。11年の『東京公園』では、第64回ロカルノ国際映画祭にて、金豹賞(グランプリ)審査員特別賞を受賞。13年には『共喰い』で、第66回ロカルノ国際映画祭にて、ボッカリーノ賞最優秀監督賞を受賞。最新作は、20年、釜山国際映画祭出品の『空に住む』がある。

あいさつ

古い人間ほど新しい何かを欲しがる、と歌う歌が戦後日本にあります。映画スター鶴田浩二のヒット曲です。八年前、いくつかの映画祭から審査員に招かれた際、私はその歌を思い出していました。少し意味は違いますがその時感じたのは、世界中の映画が同じになってしまったということでした。私はそれぞれ違っていて欲しいと願ったのです。以降、私は依頼をいくつか断りました。私は古い人間で、もうそこに自分は必要ではないと考えたからです。私は映画学校の先生になり、親を失い、病気になり、先生を辞めました。病気を治した今の私に必要なのは、映画とともに自分の人生をもう一度続けるための新しい出会いと新しい対話です。私は歓びたい、私は驚きたい、いまは心からそう願います。

クリス・フジワラ

クリス・フジワラ

Chris Fujiwara

映画評論家/プログラマー

「Jacques Tourneur: The Cinema of Nightfall」、「The World and Its Double: The Life and Work of Otto Preminger」、「Jerry Lewis」など数多くの映画関連書籍の執筆、編集に携わる。国際映画批評家連盟より刊行されている「Undercurrent」の編集長、Boston Phoenix紙の映画評論家を務め、数多くの雑誌、ジャーナル、新聞に寄稿。その他複数の大学で映画史と映画美学講師を務める。エディンバラ国際映画祭で芸術監督を務めた経験もあり、最近ではその他の機関の映画プログラムの開発に携わり、映画評論ワークショップや映画プログラミング・ワークショップの指導に当たっている。現在は、1950年代後半から1960年代前半にかけてワールド・シネマに生じた断絶について理論的・分析的研究を行なっている。

あいさつ

映画祭の重要な仕事は、大観衆を集めることが確実な映画に、栄誉ある上映の場を提供することだけではありません。映画文化の理解を深めるための状況を作り、少数の観客しか集められないかもしれないが興味深い作品を、映画祭は推進するべきです。そして何よりも映画祭は、映画制作、鑑賞、映画批評を支えている多種多様な継続性や共同体にとっての出会いの場であるべきです。新プログラミング・ディレクターの市山尚三さんがTIFFチームとともにどのようにその役割を果たしてくれるのか、希望と興奮をもって見守りたいと思います。

ローナ・ティー

ⒸFabrizio Maltese

ローナ・ティー

Lorna Tee

プロデューサー/キュレーター

映画プロデューサー、キュレーター。アジアとヨーロッパを拠点に活動する。Focus Films(香港)、Variety(アメリカ)、Irresistible Films(香港/日本)での経験を経て、BerlinaleやCinemAsia Film Festivalなどの映画祭でも活躍。またマカオ国際映画祭の共同創立者であり、2020年まで同映画祭の運営責任者を務めた。手がけた作品には“The Beautiful Washing Machine”(04)、『靴に恋する人魚』(05)、『RAIN DOGS レイン・ドッグス』(06)、“My Mother is a Bellydancer”(06)、『クレイジー・ストーン~翡翠狂騒曲~』(06)、『心の魔』(09)、『恋人のディスクール』(10)、『愛してる、愛してない』(11)、『動物園からのポストカード』(12)、『ミセスK~裏切りの一撃』(16)がある。自ら設立した制作会社Paperheartとアムステルダムを拠点にする制作会社An Original Pictureでプロデュース業に従事する。主に新人フィルムメーカーを対象としたトレーニング・プログラムやラボで指導、講義を行うほか、映画関連の国際機関や映画ファンドを様々な形でサポートしている。マカオの複合施設シネマテーク・パッションで一年を通じてプログラミング・コンサルタントを務めている。

あいさつ

映画祭は映画と温故知新の友情というストーリーテリングを祝う場です。映画祭に参加すると、ある種の帰郷の感覚が湧いてきます。映画に情熱を注ぐコミュニティに人々が集まっているからでしょう。そこで思いがけない出会いがあったり、その土地の文化に浸ってみたり、生涯続くであろう絆を結んだりします。そういう一つ一つが、映画と同様に、映画祭が私を元気づけてくれる一番の理由です。映画祭のために東京に行くことも、また帰郷です。映画、友人、食べ物、そして家族とともに集まってください。ありがとう。

世武裕子

世武裕子

Sebu Hiroko

映画音楽作曲家

東京都葛飾区生まれ。4歳から作曲を始め、6歳で映画音楽作曲家になる決意を固める。学生時代、平安建都1200年記念式典や地球温暖化防止京都会議催事で演奏を経験するなど研鑽を積み、渡仏。パリ・エコールノルマル音楽院映画音楽作曲科主席卒業。2011年、吉田光希監督『家族X』をきっかけに映画音楽作曲家としてのキャリアをスタートさせ、現在も多くの映画監督からオファーが絶えない作曲家である。直近では、石川慶監督『Arc アーク』(21)、吉田恵輔監督『空白』(20)、松永大司監督『ピュア・ジャパニーズ』(21公開予定)などで、作曲のみならず、音楽プロデュースも行っている。自身による歌唱・演奏も多く、Google Chrome CM広告やISSEY MIYAKE Paris Fashion Weekへの出演、Final Fantasy Ⅶ Remake 編曲、Mr. Childrenや森山直太朗などアーティストとのコラボレーションなどにおいても、その才を発揮している。また、早稲田大学「マスターズ・オブ・シネマ」や映画美学校「映画音楽を作る」にて、若い世代へのサポートにも積極的に取り組んでいる。

あいさつ

幼少期から何より映画が好きで、音楽を専攻しながらも自分は音楽家ではなく映画家だ!と強く思って生きてきました。一日も早く映画音楽家になりたくてもどかしい気持ちを抱いていた小学校時代から、今も変わらず映画は私の人生の中心にあります。
賞レースに全く縁のない私を審査員として推薦下さったことに、最初とても驚きました。これまで携わってきた作品から、映画への情熱や愛情を感じ取って下さったことが大変嬉しく、恐れ多くもお引き受けすることを決めました。どんな作品に出会えるのか、今から楽しみでなりません。

アジアの未来 審査委員

韓 燕麗

韓 燕麗

Han Yanli

東京大学 大学院総合文化研究科 教授

2006年京都大学にて博士号取得、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は中国語圏映画、表象文化論。著書に『ナショナル・シネマの彼方にて――中国系移民の映画とナショナル・アイデンティティ』(2014)、共著に『男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望』(2004)、Cultural Politics around East Asian Cinema(2019)などがある。

北條誠人

北條誠人

Hojo Masato

ユーロスペース支配人

静岡県旧清水市(現静岡市)生まれ。学生時代より自主上映活動をおこなう。1985年にユーロスペース前身の欧日協会に入社。映写技師を経て、1989年より劇場支配人と配給作品の営業を担当。2018年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭国内コンペティション審査員をつとめる。2021年よりコミュニティシネマ・センター副理事。

石井裕也

石井裕也

Ishii Yuya

映画監督

大阪芸術大学の卒業制作『剥き出しにっぽん』でPFFアワードグランプリを受賞。2008年のロッテルダム国際映画祭では長編4本が特集上映される。2013年の『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞。2017年には『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』を発表し、第91回キネマ旬報ベストテンで日本映画ベスト・テン第1位を獲得。アジア・フィルム・アワードでは監督賞を受賞。

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