2021.11.03 [イベントレポート]
『親密な他人』神尾楓珠の起用理由は“目力” 中村真夕監督「良い意味で目に闇がある」
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中村真夕監督

第34回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」部門に出品された『親密な他人』が11月3日、東京・有楽町のTOHOシネマズ シャンテで上映され、中村真夕監督がQ&Aを行った。

本作は、『冷たい熱帯魚』の黒沢あすかと『彼女が好きなものは』の神尾楓珠が共演し、親子でも恋人でもない男女の間に生まれる不思議な愛の行方を描いた心理スリラー。行方不明になった息子を求め続ける石川恵の前に、息子の消息を知っているという青年・井上雄二が現れる。恋人のような関係になる2人だったが、雄二には隠された目的があり、恵も誰にも言えない秘密を抱えていた。

観客からキャスティングについて聞かれた中村監督は、まず黒沢について「黒沢さんの素晴らしいところは、フランス映画だとイザベル・ユペールさんとかジュリエット・ビノシュさんみたいに、年を重ねられても幼い感じだったり、大人の女性になったり、いろんな表情を持っている女優さんです」と説明。「もうひとつ、この映画を作る狙いは、大人の女性が主人公の作品を作りたかったんです。自分が30代以上になったときに、女性として見たい邦画が少ない気がしていた」と起用理由を語る。

続けて「神尾さんについては、お芝居のかなりの部分でマスクをしていただかないといけなくて、そのときに目力のある人じゃないと何も伝わらないと思っていました。神尾さんはすごく目力のある俳優さんで、良い意味で目に闇がある人だと思っています」と魅力を明かし、「古いですが『ベニスに死す』のタジオを思い出しまして、彼は下町育ちなので“下町のタジオ”とかあだ名をつけていました」と振り返った。

そのほか、自身の好みもありBGMの使用が少ないことや、色彩についてのこだわりなどを語った中村監督は、最後に「来年の春にユーロスペースで劇場公開します」とアピールしていた。

第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
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