話題は尽きることなく大盛り上がり
生誕50周年を迎え、昭和・平成の仮面ライダーシリーズに携わった関係者が「仮面ライダー」のこれまでとこれからを語る、第34回東京国際映画祭ジャパニーズ・アニメーション部門内のプログラム「TIFF マスタークラス「仮面ライダー」の未来へ」が11月3日、都内で行われ、東映・取締役の白倉伸一郎プロデューサー、ジャパンアクションエンタープライズの代表取締役社長を務める金田治監督、脚本家の三条陸氏、アニメ評論家の藤津亮太氏が出席した。
1971年の4月3日にテレビ放送をスタートした「仮面ライダー」シリーズは、今年で生誕50周年の節目。2021年には「仮面ライダー」生誕50周年プロジェクトとして、『シン・仮面ライダー』『仮面ライダーBLACK SUN』、そしてアニメ版「風都探偵」などの新プロジェクトが発表されたが、それぞれの作品の原点となる「
仮面ライダー」「
仮面ライダーBLACK」「
仮面ライダーW」の関連作品が本映画祭で上映されている。この日のプログラムでは、この3作品に関わったクリエーターたちが登壇し、いかに作りあげたのか、そして仮面ライダーの可能性について語る機会となった。
「仮面ライダーW」を担当した三条氏は、もともと本作のプロデューサーと知り合いだったことから企画の段階からブレーンとして参加。しかしディスカッションが難航したことから「一度、三条さんの方で脚本を書いてくれないか」ということになり、脚本で参加することになったという。「これが本当にカロリーが強い作品で。仮面ライダーのベーシックな部分を押さえつつ、探偵ものとしても、事件ものとしてもある程度、質が高いところでやることになったんで。事件のトリックや動機を考えるのは大変ですし、時間もかかりましたね」としみじみ。「ただ、僕が思う仮面ライダーというのは、悪側のテクノロジーで改造された主人公が、正義のためにその力を使うというものなので、「W」もそこを守って作りましたね」と振り返る。
一方、「仮面ライダーBLACK」にアクション監督として参加した金田監督は、「僕は黒が大好きなので、黒い仮面ライダーというのをどうしようか思っていた時に、ちょうどクリント・イーストウッドの『ダーティハリー』という映画があって。あれが印象に残っていたんで、曲に合わせてブラックがただ歩いているのを、望遠レンズで撮る、というエンディングを考えたんです。そういうことをやりたいと小林義明監督に話したら、非常にノってくれて、ああいう形で撮ってくれた。あれがあったんで、ブラックの存在感がドッシリとしたものになったし、前の仮面ライダーとは変わったなという意味合いも出た。大人っぽくしたかったんですね」と説明。その言葉に白倉プロデューサーも「もともと(石ノ森章太郎が生み出した)仮面ライダーって暗いんですよ。それが次第に、子ども向けに明るくしようしていたんですけど、そこが原点回帰として暗くなったというのはありますね」と説明した。
そんな仮面ライダーの変遷について、白倉プロデューサーは「長く続いているからこそ、試行錯誤ができるんです」と語る。「仮面ライダーを軸としながら、探偵ものとか、刑事ものとか、別モチーフの仮面ライダーを外から持ってきて。ある種、壊そうという手法を何年もやってきたんですが、それも掘り尽くしちゃって。だんだんと限界も来ている。だから新作の「仮面ライダーリバイス」もそうなんですが、仮面ライダーシリーズ50年の歴史の中から、さらに新しい何かを生み出すステップに進めていく時期にきたと思います。でもそれができるのはシリーズが続いてるからであって、今回の(イベントの)テーマにもつながりますが、本当の未来はここから始まるんだろうなと思います」。
現在、製作が進められている『シン・仮面ライダー』『仮面ライダーBLACK SUN』「風都探偵」という3本の50周年プロジェクトも、未来に向けたプロジェクトとなる。白倉プロデューサーも「『シン・仮面ライダー』は庵野秀明さんの再解釈による作品となります。そして『仮面ライダーBLACK SUN』は白石和彌監督にお願いしているわけですが、もともと白石さんは仮面ライダーのファンだったわけではなかった。だが、この世界観の物語を撮れるのは白石監督であろうということで、逆にこちらからお声がけさせていただきました。白石監督は悩みながらも、「BLACK」を観ていただいたんですが、そうしたらビックリして。お話もさることながら、映像的にも、演出的にもこれをよく撮ったと。これに挑戦するということであれば、ぜひやりたいということで受けていただきました」と振り返る。
一方、「仮面ライダーW」の続編となるコミック「風都探偵」は、もともと小学館の編集者が「仮面ライダーW」の大ファンだったことから、その熱意で通した企画だったという。そのコミック版の脚本を担当する三条氏は「また「W」のシナリオを書くのは大変だなと思ったんですが、「W」という作品のファンがたくさんいるというのと、聞いたところによると、「仮面ライダー」のマンガが週刊誌で連載されるのは石ノ森章太郎先生の「仮面ライダーBlack」以来だと。それを聞いて、それならやらなきゃと思ったんです」と述懐。そんな作品がアニメ化されると聞いて、「ビックリしましたけど、東映が主導でやると聞きましたし、「W」の塚田英明プロデューサーも監修で入るということで。これはテレビ番組の続編という特殊なマンガなので、そこに東映がからむということで、安心でしたね」と振り返った。
その後も「撮影現場のスタッフたちの価値観のアップデート」「映画版とテレビ版における俳優たちのスケジュール管理」「先輩ライダーたちを登場させることの功罪」など、興味深い話が続々と飛び出した。白倉プロデューサーも「50周年という節目の年で、来年、再来年とまた新しいシリーズに向けて踏み出させていただきますし、テレビシリーズも今後もどんどんと続けていきたいと思います。仮面ライダーは、50年という歴史を積み重ねてきたと同時に、ここから新しい歴史を積み重ねていくシリーズになっていくと思います。壇上の人間はロートルですが、若い皆さんにはこれからも末永く、ともに過ごしていただければと思いますので、今後ともよろしくお願いします」と会場のファンに呼びかけた。
話題は尽きることなく大盛り上がり
生誕50周年を迎え、昭和・平成の仮面ライダーシリーズに携わった関係者が「仮面ライダー」のこれまでとこれからを語る、第34回東京国際映画祭ジャパニーズ・アニメーション部門内のプログラム「TIFF マスタークラス「仮面ライダー」の未来へ」が11月3日、都内で行われ、東映・取締役の白倉伸一郎プロデューサー、ジャパンアクションエンタープライズの代表取締役社長を務める金田治監督、脚本家の三条陸氏、アニメ評論家の藤津亮太氏が出席した。
1971年の4月3日にテレビ放送をスタートした「仮面ライダー」シリーズは、今年で生誕50周年の節目。2021年には「仮面ライダー」生誕50周年プロジェクトとして、『シン・仮面ライダー』『仮面ライダーBLACK SUN』、そしてアニメ版「風都探偵」などの新プロジェクトが発表されたが、それぞれの作品の原点となる「
仮面ライダー」「
仮面ライダーBLACK」「
仮面ライダーW」の関連作品が本映画祭で上映されている。この日のプログラムでは、この3作品に関わったクリエーターたちが登壇し、いかに作りあげたのか、そして仮面ライダーの可能性について語る機会となった。
「仮面ライダーW」を担当した三条氏は、もともと本作のプロデューサーと知り合いだったことから企画の段階からブレーンとして参加。しかしディスカッションが難航したことから「一度、三条さんの方で脚本を書いてくれないか」ということになり、脚本で参加することになったという。「これが本当にカロリーが強い作品で。仮面ライダーのベーシックな部分を押さえつつ、探偵ものとしても、事件ものとしてもある程度、質が高いところでやることになったんで。事件のトリックや動機を考えるのは大変ですし、時間もかかりましたね」としみじみ。「ただ、僕が思う仮面ライダーというのは、悪側のテクノロジーで改造された主人公が、正義のためにその力を使うというものなので、「W」もそこを守って作りましたね」と振り返る。
一方、「仮面ライダーBLACK」にアクション監督として参加した金田監督は、「僕は黒が大好きなので、黒い仮面ライダーというのをどうしようか思っていた時に、ちょうどクリント・イーストウッドの『ダーティハリー』という映画があって。あれが印象に残っていたんで、曲に合わせてブラックがただ歩いているのを、望遠レンズで撮る、というエンディングを考えたんです。そういうことをやりたいと小林義明監督に話したら、非常にノってくれて、ああいう形で撮ってくれた。あれがあったんで、ブラックの存在感がドッシリとしたものになったし、前の仮面ライダーとは変わったなという意味合いも出た。大人っぽくしたかったんですね」と説明。その言葉に白倉プロデューサーも「もともと(石ノ森章太郎が生み出した)仮面ライダーって暗いんですよ。それが次第に、子ども向けに明るくしようしていたんですけど、そこが原点回帰として暗くなったというのはありますね」と説明した。
そんな仮面ライダーの変遷について、白倉プロデューサーは「長く続いているからこそ、試行錯誤ができるんです」と語る。「仮面ライダーを軸としながら、探偵ものとか、刑事ものとか、別モチーフの仮面ライダーを外から持ってきて。ある種、壊そうという手法を何年もやってきたんですが、それも掘り尽くしちゃって。だんだんと限界も来ている。だから新作の「仮面ライダーリバイス」もそうなんですが、仮面ライダーシリーズ50年の歴史の中から、さらに新しい何かを生み出すステップに進めていく時期にきたと思います。でもそれができるのはシリーズが続いてるからであって、今回の(イベントの)テーマにもつながりますが、本当の未来はここから始まるんだろうなと思います」。
現在、製作が進められている『シン・仮面ライダー』『仮面ライダーBLACK SUN』「風都探偵」という3本の50周年プロジェクトも、未来に向けたプロジェクトとなる。白倉プロデューサーも「『シン・仮面ライダー』は庵野秀明さんの再解釈による作品となります。そして『仮面ライダーBLACK SUN』は白石和彌監督にお願いしているわけですが、もともと白石さんは仮面ライダーのファンだったわけではなかった。だが、この世界観の物語を撮れるのは白石監督であろうということで、逆にこちらからお声がけさせていただきました。白石監督は悩みながらも、「BLACK」を観ていただいたんですが、そうしたらビックリして。お話もさることながら、映像的にも、演出的にもこれをよく撮ったと。これに挑戦するということであれば、ぜひやりたいということで受けていただきました」と振り返る。
一方、「仮面ライダーW」の続編となるコミック「風都探偵」は、もともと小学館の編集者が「仮面ライダーW」の大ファンだったことから、その熱意で通した企画だったという。そのコミック版の脚本を担当する三条氏は「また「W」のシナリオを書くのは大変だなと思ったんですが、「W」という作品のファンがたくさんいるというのと、聞いたところによると、「仮面ライダー」のマンガが週刊誌で連載されるのは石ノ森章太郎先生の「仮面ライダーBlack」以来だと。それを聞いて、それならやらなきゃと思ったんです」と述懐。そんな作品がアニメ化されると聞いて、「ビックリしましたけど、東映が主導でやると聞きましたし、「W」の塚田英明プロデューサーも監修で入るということで。これはテレビ番組の続編という特殊なマンガなので、そこに東映がからむということで、安心でしたね」と振り返った。
その後も「撮影現場のスタッフたちの価値観のアップデート」「映画版とテレビ版における俳優たちのスケジュール管理」「先輩ライダーたちを登場させることの功罪」など、興味深い話が続々と飛び出した。白倉プロデューサーも「50周年という節目の年で、来年、再来年とまた新しいシリーズに向けて踏み出させていただきますし、テレビシリーズも今後もどんどんと続けていきたいと思います。仮面ライダーは、50年という歴史を積み重ねてきたと同時に、ここから新しい歴史を積み重ねていくシリーズになっていくと思います。壇上の人間はロートルですが、若い皆さんにはこれからも末永く、ともに過ごしていただければと思いますので、今後ともよろしくお願いします」と会場のファンに呼びかけた。