2021.11.03 [イベントレポート]
「自分の目と体で体感してから言葉として、セリフとして発したい」11/1(月) Q&A『ムーンライト・シャドウ』

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©2021 TIFF

 
11/1(月) Nippon Cinema Now部門『ムーンライト・シャドウ』上映後、小松菜奈さん(女優)、宮沢氷魚さん(俳優)、佐藤緋美さん(俳優)をお迎えし、Q&Aが行われました。
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市山尚三プログラミング・ディレクター(以下、市山PD):お待たせいたしました。早速Q&Aを始めたいと思います。まずゲストの方々に一言ずつご挨拶を頂戴したいと思います。
 
小松菜奈さん(以下、小松さん):こんばんは、今日は初めての東京国際映画祭に『ムーンライト・シャドウ』で参加させていただき、本当に光栄です。ありがとうございます。
久々にこのメンバーと出会えて嬉しいです、今日は最後まで楽しんでいってください。よろしくお願いします。
 
宮沢氷魚さん(以下、宮沢さん):こんばんは、宮沢氷魚です。この度はこのような素敵な映画祭にこのメンバーで出られて本当に嬉しく思っています。
 
佐藤緋美(以下、佐藤さん):こんばんは、佐藤緋美です。僕も初めての東京国際映画祭です。奈々ちゃんと氷魚くんに会えて嬉しいし、皆さんの質問に答えていけたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
 
市山PD:皆さん今後何度もご招待することになると思いますので、その際はよろしくお願いします。まず、小松菜奈さんにご質問したいと思います。エドモンド・ヨウ監督のトークセッションで監督が言っていたのですが、この『ムーンライト・シャドウ』は監督の念願の映画化だったらしいのです。「これをやる場合には必ず小松さんに主演に出ていただきたいとオファーしたところ、引き受けていただけて本当にありがとうございました」と監督が言っておりました。小松さんがこの企画のオファーをいただいた時、どう思われたかをお聞きしたいです。
 
小松さん:監督もキャストの方々も異色のメンバーでもあったのですごくわくわくするというか、どんな世界に私たちを連れて行ってもらえるかなというのはすごくありまして。
吉本ばななさんの作品が日本を超えて海外でもすごく長く愛され続けている作品でもあり、そのような作品に出演させて頂けることは本当にありがたく、私もそこの世界に飛び込んでみたいなと思いました。
 
市山PD:小松さんにもう一つ質問したいんですが、この映画のヒロインがほとんど最初から最後まで出ているというくらい映画を背負っていく役柄で。しかも相当難しい役柄。恋人が亡くなって、その死を乗り越えるという、そこに非現実的な要素も加えているという臼田さんの役柄も含めて、現実か幻かわからないというような人と交流したりという難しい役だろうと思うのですが、何か役作りで苦労されたことがあれば聞きたいと思います。
 
小松さん:撮影が始まったのは、“等”がいなくなってからのシーンでした。まず走るシーンから撮影していったので、楽しいシーンはなく、想像で演じるしかなかったので。自分で作り上げるというか、“等”と過ごした“さつき”はこんな顔をしていたんだろうなとか、そういうものを浮かべながら演じるしかなくて。ファンタジーの要素もあるのでそこはすごく難しい部分もあったのですが、キャストの方々を目にして一緒に一人ひとりとお芝居していく中で、きっと“さつき”の繊細な感情が見つかる気がするなと思っていて。だからとにかく“さつき”自体はただまっすぐに現実を受け止めて、でもやっぱり、美しいだけじゃない現実なので、とどまったり、一歩下がってみたり、背中を向けてしまったり、なんか進んでみようかなと、一日一日違うと思うので、それをちゃんと自分の目と体とちゃんと体感してから言葉として、セリフとして発したいなと、丁寧に演じていきたいなと、より思いました。
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市山PD:ありがとうございます。次に宮沢さんに質問します。“等”という役は最初出てきて、そして途中で突然いなくなり、最後に登場するということで。特に最後に登場するところは演技が難しいかなと思ったのですが、そこは自分で考えたのか、それとも監督のほうから指示があったのかどうかをお聞きしたいです。
 
宮沢さん:あのシーンはエドモンドとも何回かお話して、いなくなった後なので、この世にはもう存在しない人物ということで。でも“さつき”に会えた喜びとかは、その生っぽいところは少し持ちつつ、でもどこかほっとしている自分というか、この再会によって“さつき”が前を向いて進めたらいいなという安堵の気持ちみたいなものを持ち合わせながら一心に挑みました。
 
市山PD:今日、エドモンド監督のトークの時に一般の視聴者から、最後に“等”が去っていくときに原作では手を振ることになっていたが映画では手を振っていなかったと、これはどうしてですかという質問があったのですが、監督のほうは両パターン撮って、それで編集のときも考えて、結局手を振らないほうのパターンを採用したという答えでした。宮沢さん自身はどちらがよかったかというご意見ありますか。
 
宮沢さん:僕は手を振らないほうが良かったかなと。あの瞬間だけで多分あの世界観というか、二人の関係性は完成していると思っていて、それだけそこがしっくりきていたので、手を振っていたバージョンを撮っていたのを完全に今まで忘れていましたよね。それくらいあそこがしっくりきていたと思います。
 
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©2021 TIFF

 
市山PD:佐藤さんにお聞きしたいと思います。実は原作を読んでいなくて先に映画のほうを見てしまったので、途中セーラー服を着ていてびっくりして、これ笑っていいのか、いけないのかと思ったのですが、これは原作通りなんですね。抵抗はなかったですか?こういう役をやるのに。
 
佐藤さん:最初のオーディションのときに、一回試しに着てみて、その姿をエドモンドが見ていたのですけど、全然抵抗はなかったです。変わっている役というのを知っていたので。でも寒かったですね。
 
市山PD:12月で多摩川ということは…
 
佐藤さん:12月で川沿いとかで寒い時期で、でもその寒い時期が合っていて、すごい寒い中やったのは今でも思い出に残ってます。氷魚くんが川に入るのを見ているだけで寒かったです。
 
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市山PD:川に入って大丈夫でしたか?
 
宮沢さん:寒かったし、本編では使われていないんです。
 
Q:3名に質問なのですが、実際に「月影現象」が起きて遭遇できる機会があるとすれば、会いたい方はいますか?
 
小松さん:私は実家で飼っていた猫に会いたいです。病気気味で最後に会うこともできなかったので、ちゃんと「大好きだったよ」と言葉で伝えたかったなと悔いが残ってしまって。もし、月影現象があれば、飼っていた猫に会いたいです。
 
宮沢さん:ぼくは20年以上前に亡くなったおじいちゃんに会いたいですね。本当に頭がよくて、戦争も経験していて、本当につらい経験もして。その結果、お医者さんになったんです。医者になって激動の時代を生きた人だったので、その時の生き方とか、どういう人生を歩んだのかを今になって聞きたいなというのはありますね。
 
佐藤さん:僕は父方のひいおじいちゃんがオランダとノルウェーのハーフらしくて、戦争の時に日本に来てシェフだったらしくて、アメリカ人ですけど。会ったことないので会ってみたいです。

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