森田芳光監督と松田優作さんに思いを馳せながら舞台挨拶
数々の話題作、ヒット作を手がけてきた森田芳光監督が2011年に逝去してから10年。森田監督の代表作となる映画『
家族ゲーム』の4Kデジタルリマスター版が11月5日、第34回東京国際映画祭の「日本映画クラシックス」部門でワールドプレミア上映された。この日、TOHOシネマズシャンテで行われた舞台挨拶には、本作に出演する由紀さおり、宮川一朗太、伊藤克信が参加した。
故松田優作さんを主演に迎えた本作は、どこにでもある家庭の抱えている問題をユーモアたっぷりに描いた、シニカルでシュールなホームコメディー。高校受験を控える息子を持つ沼田家に、三流大学の7年生という風変わりな男・吉本がやってきたことから起きる騒動をを描き出す。1983年度の「第57回キネマ旬報ベストテン」1位をはじめ、数々の映画賞を獲得するなど、高い評価を受けた。この日は沼田家の母・千賀子を演じた由紀、息子の茂之を演じた宮川、そして茂之が通う学校の教師・荒木を演じた伊藤が来場した。
大勢の観客で埋まった場内を見渡した由紀は、「こんな機会にお声がけいただいて。今日は同窓会気分で皆さんにお目にかかれることができてうれしく思います」と笑顔。宮川も「平日の午前中なのに、これだけのお客さんが来てくださって。この作品が、そして森田監督がこれほどまでに愛されている、というのをヒシヒシと感じています。『家族ゲーム』の思い出は、数え切れないほどありますが、優作さんから教わることも多くて。あれは僕の芸能生活の初めでもありますから、非常に今でも印象深く。ただ、38年前のニキビ満開の顔が、4Kでリマスターされたのかと思うと、大変おそろしいですが。楽しんでいただけたでしょうか?」と呼びかけると、会場からは拍手が。その様子に笑顔を見せた宮川は、「拍手が何よりです」と満足げな笑顔を見せた。
そして伊藤も「森田監督とはデビューからの付き合いでしたけど、この映画では答案用紙を窓から投げる教師という役で。あっという間に始まって、あっという間に終わったけど、自分が出た映画の中でもあそこはけっこう好きなシーンなんです。あらためて昨日も映画を見返したんですが、ひとりで笑ってしまって。あらためてすごい映画だなと実感しました」と続けた。
森田監督と初めて会った日のことを聞かれた由紀は「森田監督と初めて会った時に、「僕は“8時だョ!全員集合”の由紀さんが大好きだからあの感じでお願いしたい。撮影現場に遊びに来る感じで、何もやらなくていいです」と言われて。分かりましたと言っていました」と述懐。一方の宮川も「実は僕は当時、本当にやる気がなくて。オーディションも当時通っていた劇団が申し込んで、それで書類審査が通りましたということになったんですけど、当時は若気の至りでしたが、オーディションに落ちまくっていたのでやる気も無かったんですよ。『家族ゲーム』というタイトルも面白くなさそうだし、適当に答えてればいいやと思って、横を向いて答えていたら、その感じが茂之という役にピッタリだと言われて。その生意気な感じで合格したんです。人生って何が幸いするか分からないですね」とオーディション秘話を明かした。
さらに、松田さんとの共演に思いを馳せた由紀は「これは悪い意味じゃないけど、ものすごい威圧感があって、パワフルな感じでしたね。でも彼は本当に優しくて。お昼休みになると、伊丹さんと優作さんが一緒にお昼をとっていて。とにかく映画が好きなんで、ご飯を忘れてふたりで映画の話をしていたんです。そして伊丹さんはその後にご自身で映画を撮ることになるわけですが、空き時間にスクーターで3本立ての映画を観てきたとおっしゃって。二人でそんな話をしていたんですけど、今思うと、そんな話を聞けたというのは幸せでしたね」。宮川も、「明日は優作さんの33回忌の命日なんですよね。その前日にトークショーをやるというのもゾクッとするような感じがしますね」としみじみと語った。
本作のクライマックスとなる、混沌とした合格祝いのシーンにおける長回しは、今でも語り草となっている。「あの時はわたしのところにマヨネーズが飛んできたらどうしようかなと思っていましたけど、リアクションはしないで。お茶碗を持って、たくあんかキュウリの漬物のどちらかを食べていました」と由紀。宮川も「当時は長回しが何なのかも分かっていなかったですけど、実際にラップをかけてテストをやったんです。普通のドラマなら、実際にあるものを前にして段取りをもっとやるけど、優作さんが「もっとやろうぜ」というんで、あれは一発オッケーだったんです」とほほ笑んだ。
第34回東京国際映画祭は、11月8日まで開催。
森田芳光監督と松田優作さんに思いを馳せながら舞台挨拶
数々の話題作、ヒット作を手がけてきた森田芳光監督が2011年に逝去してから10年。森田監督の代表作となる映画『
家族ゲーム』の4Kデジタルリマスター版が11月5日、第34回東京国際映画祭の「日本映画クラシックス」部門でワールドプレミア上映された。この日、TOHOシネマズシャンテで行われた舞台挨拶には、本作に出演する由紀さおり、宮川一朗太、伊藤克信が参加した。
故松田優作さんを主演に迎えた本作は、どこにでもある家庭の抱えている問題をユーモアたっぷりに描いた、シニカルでシュールなホームコメディー。高校受験を控える息子を持つ沼田家に、三流大学の7年生という風変わりな男・吉本がやってきたことから起きる騒動をを描き出す。1983年度の「第57回キネマ旬報ベストテン」1位をはじめ、数々の映画賞を獲得するなど、高い評価を受けた。この日は沼田家の母・千賀子を演じた由紀、息子の茂之を演じた宮川、そして茂之が通う学校の教師・荒木を演じた伊藤が来場した。
大勢の観客で埋まった場内を見渡した由紀は、「こんな機会にお声がけいただいて。今日は同窓会気分で皆さんにお目にかかれることができてうれしく思います」と笑顔。宮川も「平日の午前中なのに、これだけのお客さんが来てくださって。この作品が、そして森田監督がこれほどまでに愛されている、というのをヒシヒシと感じています。『家族ゲーム』の思い出は、数え切れないほどありますが、優作さんから教わることも多くて。あれは僕の芸能生活の初めでもありますから、非常に今でも印象深く。ただ、38年前のニキビ満開の顔が、4Kでリマスターされたのかと思うと、大変おそろしいですが。楽しんでいただけたでしょうか?」と呼びかけると、会場からは拍手が。その様子に笑顔を見せた宮川は、「拍手が何よりです」と満足げな笑顔を見せた。
そして伊藤も「森田監督とはデビューからの付き合いでしたけど、この映画では答案用紙を窓から投げる教師という役で。あっという間に始まって、あっという間に終わったけど、自分が出た映画の中でもあそこはけっこう好きなシーンなんです。あらためて昨日も映画を見返したんですが、ひとりで笑ってしまって。あらためてすごい映画だなと実感しました」と続けた。
森田監督と初めて会った日のことを聞かれた由紀は「森田監督と初めて会った時に、「僕は“8時だョ!全員集合”の由紀さんが大好きだからあの感じでお願いしたい。撮影現場に遊びに来る感じで、何もやらなくていいです」と言われて。分かりましたと言っていました」と述懐。一方の宮川も「実は僕は当時、本当にやる気がなくて。オーディションも当時通っていた劇団が申し込んで、それで書類審査が通りましたということになったんですけど、当時は若気の至りでしたが、オーディションに落ちまくっていたのでやる気も無かったんですよ。『家族ゲーム』というタイトルも面白くなさそうだし、適当に答えてればいいやと思って、横を向いて答えていたら、その感じが茂之という役にピッタリだと言われて。その生意気な感じで合格したんです。人生って何が幸いするか分からないですね」とオーディション秘話を明かした。
さらに、松田さんとの共演に思いを馳せた由紀は「これは悪い意味じゃないけど、ものすごい威圧感があって、パワフルな感じでしたね。でも彼は本当に優しくて。お昼休みになると、伊丹さんと優作さんが一緒にお昼をとっていて。とにかく映画が好きなんで、ご飯を忘れてふたりで映画の話をしていたんです。そして伊丹さんはその後にご自身で映画を撮ることになるわけですが、空き時間にスクーターで3本立ての映画を観てきたとおっしゃって。二人でそんな話をしていたんですけど、今思うと、そんな話を聞けたというのは幸せでしたね」。宮川も、「明日は優作さんの33回忌の命日なんですよね。その前日にトークショーをやるというのもゾクッとするような感じがしますね」としみじみと語った。
本作のクライマックスとなる、混沌とした合格祝いのシーンにおける長回しは、今でも語り草となっている。「あの時はわたしのところにマヨネーズが飛んできたらどうしようかなと思っていましたけど、リアクションはしないで。お茶碗を持って、たくあんかキュウリの漬物のどちらかを食べていました」と由紀。宮川も「当時は長回しが何なのかも分かっていなかったですけど、実際にラップをかけてテストをやったんです。普通のドラマなら、実際にあるものを前にして段取りをもっとやるけど、優作さんが「もっとやろうぜ」というんで、あれは一発オッケーだったんです」とほほ笑んだ。
第34回東京国際映画祭は、11月8日まで開催。