2021.11.05 [イベントレポート]
「セリフは当日ノートを破ったものに…」ブリランテ・メンドーサ監督ならではの撮影法に尚玄、南果歩らが驚き
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「GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮題)」Q&Aの模様

第34回東京国際映画祭の「ガラ・セレクション」部門に出品された『GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮題)』が11月3日、東京・有楽町のよみうりホールで上映され、尚玄、南果歩、木佐貫まや、原案モデルの土山直純氏、プロデューサーの山下貴裕がQ&Aを行った。

『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』(2009)でフィリピン人として初めてカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したブリランテ・メンドーサ監督がメガホンをとり、くじけず目標に向かう実在の義足のボクサーと、彼を支える異国のコーチ、仲間たちの姿を描くヒューマンドラマ。

主人公・津山尚生を演じた尚玄は「撮影の後は痣が残りました。最初の対戦相手は鼻血を出していたのですが、本当に僕のフックが当たってしまって、3ラウンドの予定が1ラウンドで終わってしまった。自分にも起こりうることなので緊張感はありました」とボクシングシーンの裏話を明かし、「普通の撮影は手を合わせて予期できるものでやりますが、メンドーサ監督はそれを許さないので、そういう意味では怖さもありました。それだけリアリティーを求めていたからだと思います」と振り返る。

事前に脚本を渡さないことで知られるメンドーサ監督の撮影スタイルには、南も驚いたそうで「当日そのシーンを撮影する直前、ノートをびりっとやぶったものにこのようなことを言えばいいと書いてありました。もう一つ驚いたのは、いつスタートするかわからないんです。監督はずっとカメラを回しているので、ずっとその役でいることを求めているんです。素に戻ることを求めていなくて、衣装を着てそこにいる状態から役の人生が始まっているという感覚でした。いろんな監督とご一緒してきましたが、聞きしに勝るメンドーサ組。恐ろしい現場ですが、お芝居って本来こういう取り組み方だったと思い出させてくれる素晴らしい監督です」と感謝を込める。

本作で映画に初出演した木佐貫は「映画にスタッフさんが急に入って撮影したこともありました。その場にいる私も何が起こるかわからない現場で、貴重な経験になりました」と笑顔。原案モデルとなった土山氏が「映画になって、お世話になった人たちに恩返しができたと嬉しく思います」と挨拶すると会場から歓声が起こり、山下プロデューサーは「日本では来年のどこかのタイミングで劇場公開します」と報告していた。

第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
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