2021.11.04 [イベントレポート]
古川原壮志長編初監督作『なぎさ』お披露目 山崎七海「なぎさが背負っているものを演じるのが大変だった」
640.jpg
古川原壮志監督と山崎七海

第34回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門に出品された、古川原壮志監督作『なぎさ』が11月3日、東京・TOHOシネマズ シャンテで上映された。

上映前の舞台挨拶に登壇した女優の山崎七海は「初めての映画を広いところで上映していただいてうれしいです。レッドカーペットを歩けてうれしかった」と笑顔。古川原監督にとって、初の長編作「めっちゃつかれました。大変でしたが、またやりたいです」と率直に語った。

映画は、偶然訪れた心霊スポットのトンネルで、兄は事故死した妹の幽霊に出会い、トンネルの暗闇が過去の故郷の時間へ、兄を誘う……という物語。

初の映画出演の感想を問われた山崎は「なぎさっていうキャラクターをぜひやってみたいと思った。お母さんがいない悲しみとお兄ちゃんへの思いとか、なぎさが背負っているものを演じるのが大変でした。なぎさになり切っちゃいました」と振り返る。古川原監督は「とても芯が強い。泣くお芝居でぎゃん泣きしたので、心配したのですが、素敵で面白い子なので大丈夫だなと思った」と山崎の女優魂を褒めたたえた。

古川原監督は、本作と同名の短編映画が、国内外で優れたオリジナル作品を制作し多様な映像作品を配信する「Amazon Prime Video」の協賛を得て、東京国際映画祭が“更なる才能の発掘”を目指して設立された「Amazon Prime Video テイクワン賞」ファイナリスト作品に選ばれている。

上映後のQ&Aで、同名の短編とは異なる長編を撮った理由を問われた古川原監督は、「始まりは長編で、この脚本を書くために短編を作りました。メッセージやテーマは同じ。短編を作って長編に生かそうと思った」と答え、「祖父母が立て続けに亡くなったことや、長崎から東京に出てきたことなど、ライフワークとしていろんな要素を入れて書き上げました」と自身の体験も反映させた。

暗闇や影の使い方が印象的な作品だ。「お母さんのおなかの中、トンネルも子宮に続く道をイメージしています。井戸の底で考えさせるような、音も一つの要素と際立たせるようにした。見る方が想像を膨らませて、暗闇の中に幻覚などを見つけるように」とその意図を明かす。

観客から、最初とラストの星の意味について質問されると、「押し入れが兄妹ふたりの居場所で、そこで生活しているように感じられるように作っています。星は唯一ふたりがいられる暗闇の中の星、のようなアイデアで入れています」と説明した。

第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
オフィシャルパートナー