2021.11.02 [イベントレポート]
SKIPシティ映画祭2021でW受賞の新鋭・萱野監督「ジャンルが変わる新しい映画を」
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萱野孝幸監督と相川満寿美プロデューサー

第34回東京国際映画祭で、「SKIPシティ 国際Dシネマ映画祭2021」受賞作の『夜を越える旅』が11月2日、上映され、Q&Aで萱野孝幸監督、プロデューサーの相川満寿美氏が登壇した。

『夜を越える旅』は学生時代の友人たちと1泊2日の旅に出た漫画家志望の春利(高橋佳成)の物語。応募していた漫画賞の結果を知り自暴自棄になっているところ、かつて思いを寄せていた小夜(中村祐美子)が遅れて参加して……。前半は甘酸っぱい思い出の青春ものだが、後半思わぬ展開が待っている。オンラインで開催された「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021」では優秀作品賞、観客賞を受賞した。

萱野監督は大分県出身、九州大学芸術工学部画像設計学科を卒業し、福岡を拠点に映画をはじめ多ジャンルの制作活動を行っている31歳の新鋭。「ジャンルを知らないで見に来てくださった方をびっくりさせてしまったかもしれません。古典のサスペンス、ホラー映画を見直す中、途中からジャンルが変わる、何か新しい映画を作ってみたいなと思った。前半には伏線を仕込んでいる。スカーフやコップの色に注目してほしい」と話した。

本作は昨年のコロナ禍の中、リモートでオーディションを行い、佐賀県を中心に撮影。「佐賀に戻った人がいて、大変よくしていただいた。キャストにも気遣ってもらった。トラブルは起きてはいけないと思い、ピリピリしていた」(相川氏)。

萱野監督は「春利役とヒロインの小夜役は悩んだ。小夜はリモートオーディションで決めたが、目が強いなと思った。見とれた分、ドキッとした。2人の関係はきょうだいのようでもあり、恋人のようでもあり、友達のようでもあり、絶妙だなと思った」。これまでの作品は九州を舞台にしているが、「いい意味で都市を意識しないで撮りたい。映画ごとにいろんなところで撮っていきたい」と話す。

今後について、相川氏は「公開に向けて精進しているので注目してください」、萱野監督は「ホラーではないものも発表していきたい」と意気込んだ。

第34回東京国際映画祭は、11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催中。
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