2021.11.02 [イベントレポート]
小松菜奈、死者と再会できる「月影現象」に遭遇したら…「猫ちゃんに“大好きだよ”って伝えたい」
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左から宮沢氷魚、小松菜奈、佐藤緋美

第34回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」部門に出品された『ムーンライト・シャドウ』が11月1日、東京・有楽町のTOHOシネマズ シャンテで上映され、小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美がQ&Aを行った。

『アケラット-ロヒンギャの祈り』で第30回東京国際映画祭の最優秀監督賞に輝いたマレーシアのエドモンド・ヨウ監督が、吉本ばなな氏の短編小説を映画化。主人公のさつき(小松)はある事故で恋人・等(宮沢)を亡くし、等の弟・柊(佐藤)も、同じ事故で恋人・ゆみこ(中原ナナ)を失う。さつきと柊は、満月の夜の終わりに死者と再会できるという「月影現象」を通して、悲しみを乗り越えようとする。

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等の死を乗り越えようと、不思議な女性・麗(臼田あさ美)と交流するさつき役を通して、現実とも幻想ともつかない世界に身を置いた小松。役づくりの苦労を問われ、小松は撮影を振り返る。

小松「撮影が始まったのが、等がいなくなって、走るシーンからだったんです。(その時点で)楽しいシーンはなく、「等と過ごしたさつきは、こんな顔をするんだろうな」と自分で作り上げて、演じるしかなくて。ファンタジーの要素もあるので、難しい部分もあったんですが、キャストひとりひとりとお芝居していくなかで、きっとさつきの繊細な感情が見つかる気がするなと思っていて。さつきとしてはただ真っ直ぐに、美しいだけではない現実を受け止めて、留まったり、一歩下がってみたり、背中を向けたり、進んだり、1日1日(状態が)違うと思うので、自分の目と体できちんと体感してから言葉として発したいな、丁寧に演じていきたいなと思いました」

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続いて宮沢は、亡くなった等が登場し、原作とは異なる形で描かれたラストシーンに触れる。原作では等が手を振るが、映画ではほほ笑み、その場に佇む。2パターン撮影されたが、本編では後者が採用された。宮沢は「僕は手を振らない方がしっくりきたかなと思いました。(手を振らなくても)あの瞬間だけで、ふたりの関係は完成したと思っています」と考えを述べた。

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物語のキーワードである「月影現象」が起こるシーンの撮影は2020年12月、多摩川沿いで行われた。佐藤は、川辺のシーンにまつわる忘れられない思い出があるといい、「氷魚くんが川に入ったときとか、見ているだけで寒かったですね」と、笑い交じりに述懐。宮沢は「寒かったし、本編では使われてないんですよね」と無念そうな様子で、会場の笑いを誘っていた。

この日は会場に集まった観客から、「もし「月影現象」が実際にあるとしたら、誰に会いたいですか?」という質問が寄せられた。小松は「実家で飼っていた猫に会いたいです」と答え、「ある日突然、猫ちゃんがいなくなってしまって。病気気味で、そこから会えずに、帰ってくることもなかったので、最後にちゃんと「大好きだよ」って、言葉で伝えたかったなと思います。急にいなくなってしまうと、いろいろと悔いが残ってしまって。そういう現象があったら、猫に会いたいです」としんみりした表情を浮かべた。

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「祖父」と答えた宮沢は、「頭が良くて、戦争の辛い経験をしていて、医者になって激動の時代を生きた人だったので、どういう人生を歩んだのか、ちゃんと聞きたいなと思いますね」と語る。佐藤は、「父方のひいおじいちゃん」といい、「オランダとノルウェーのハーフのアメリカ人で、戦争中に日本に来たシェフだったらしくて。会ったことがないので、会ってみたいですね」と思いを馳せていた。

第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
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