有料チャンネルHBOアジアのアンソロジーホラー『
フォークロア2』が11月4日、第34回東京国際映画祭「TIFFシリーズ」部門で上映され、YouTubeの生配信で「TIFFトークサロン」が行われた。『フォークロア2 あの風が吹いた日』の監督を務めた歌手で女優の松田聖子と、『フォークロア2 お出かけ』を監督したニコール・ミドリ・ウッドフォードが出演した。
『フォークロア』は、アジア圏の監督が各国特有の文化や社会に根差した伝承を題材に、ホラー作品を制作するアンソロジー企画。シンガポール映画界の巨匠エリック・クーが企画、製作総指揮を務めた。シーズン1の日本を舞台にしたエピソード「TATAMI」では齊藤工がメガホンをとり、北村一輝が主演した。
シーズン2では、シーズン1とは異なるアジアの監督陣が、7つのエピソードを紡ぐ。日本から松田、シンガポールからウッドフォード、台湾からリャオ・シーハン(「楽園」)、フィリピンからエリック・マッティ(「牢獄処刑人」)、マレーシアからブラッドリー・リュウ(「モーテル・アカシア」)、タイからシッティシリ・モンコルシリ、インドネシアからビリー・クリスチャンが名を連ねており、ベテランから新鋭まで幅広く起用された。
『フォークロア2 あの風が吹いた日』は、松田にとって初の監督作で、美しくも悲しいラブストーリーに仕上がった。高校生のミカ(高橋春織)は、憧れの歌手ケン(森崎ウィン)のコンサートに行くためにアルバイトに励んでいる。ある日、ミカは公園でひとりの男性がギターを弾きながら作曲しているところに居合わせる。アドバイスを求められたミカは、その男性がケンであることに気が付く。
松田は、クー監督作『家族のレシピ』(2017)に出演しているが、クー監督は1990年代からの松田ファン。クー監督がコンサートに出向いたり、一緒にベルリン国際映画祭を訪れたりしたという。そんななか、食事中に話した松田の物語をクー監督が気に入り、約1年後に今作の監督の打診があったという。松田は「本当に驚いた」と言いつつも、「そんなに素晴らしいチャンスをいただけるなんて絶対に挑戦したいと思い、すぐにイエスと言いました」と即答したことを明かした。
今作での演出に関してもクー監督に影響を受けたといい、「彼の役者とのコミュニケーションの取り方が本当に素晴らしかった。心優しく、情熱を持ってみんなで心を一つにして作品を作り上げるという(クー監督の)心が好きだった」と、役者としての経験を監督に生かしたようだ。
ケン役については、松田監督のなかに「イメージがすごくはっきりとあった」という。「実際の歌手で、優しくて、繊細で、もちろんスマートで。そういうイメージの人と考えていたときに、森崎ウィンさんの映像とかお写真を拝見して、きっとケンにすごく相応しいんじゃないかと思いました。プロデューサーやエリックにも彼でどうかと聞いたら、満場一致で「He is perfect!(彼は完璧だね!)」とウィンさんに決まりました」とほほ笑んだ。
ミカ役の高橋はオーディションで見出したといい、「春織さんが本当にピュアな透明感のある素晴らしい女優さんだったので、絶対に彼女がミカにぴったりだなと思いました」と述懐した。
コロナ禍での撮影となったが、「確かに環境が難しいことはありましたが、現場自体は夢のようなスタッフさんに恵まれて、本当に素晴らしい撮影ができたと思っています」と自負。「季節も本当に寒くて、夜中の撮影が多かったので、みんな極寒のなかでやりました。風の強かったので、そういう環境も厳しかったですが、だからこそみんなが本当に力を合わせてやったというありがたい撮影でしたね」と振り返った。
さらに、今後の監督としての展望を聞かれると、「今回は皆さんのおかげで素晴らしい経験をさせていただいて、勉強することもたくさんありました。この経験を生かして、機会があったらぜひ次のプロジェクトも頑張ってやっていきたい。もっともっと勉強してチャレンジしていきたいと思っています」と意欲を見せた。
一方の『フォークロア2 お出かけ』は、家族の絆をテーマにしたゴースト・ストーリー。小学生のウェイミンと暮らす母親エンは、常に何かの気配を感じ、不眠に悩まされていた。一方のウェイミンは、学校で不思議な少年を目撃する。
ウッドフォード監督は、幽霊が出るという噂があるシンガポールの海からインスパイアされて制作したという今作で、「家族を亡くした遺族のトラウマはどういうものなのかを描きたかった」という。
「心理ドラマ、家族ドラマ、ホラーの要素があります。母親の目線で描いているのですが、息子が亡くなったということを母親がどう捉えているのか、そして息子の死からどうやって立ち直っていくのかという旅を描いた内容です。やがてその母親が考えていることが家族全員に影響をもたらし、最終的には真実が明かされます」と内容を説明した。
また、舞台となったシンガポールについて、「非常に現代的な都市でありながら古い言い伝えもあるという、解離がある感じがしますね」とその独特な雰囲気を語った。
第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
有料チャンネルHBOアジアのアンソロジーホラー『
フォークロア2』が11月4日、第34回東京国際映画祭「TIFFシリーズ」部門で上映され、YouTubeの生配信で「TIFFトークサロン」が行われた。『フォークロア2 あの風が吹いた日』の監督を務めた歌手で女優の松田聖子と、『フォークロア2 お出かけ』を監督したニコール・ミドリ・ウッドフォードが出演した。
『フォークロア』は、アジア圏の監督が各国特有の文化や社会に根差した伝承を題材に、ホラー作品を制作するアンソロジー企画。シンガポール映画界の巨匠エリック・クーが企画、製作総指揮を務めた。シーズン1の日本を舞台にしたエピソード「TATAMI」では齊藤工がメガホンをとり、北村一輝が主演した。
シーズン2では、シーズン1とは異なるアジアの監督陣が、7つのエピソードを紡ぐ。日本から松田、シンガポールからウッドフォード、台湾からリャオ・シーハン(「楽園」)、フィリピンからエリック・マッティ(「牢獄処刑人」)、マレーシアからブラッドリー・リュウ(「モーテル・アカシア」)、タイからシッティシリ・モンコルシリ、インドネシアからビリー・クリスチャンが名を連ねており、ベテランから新鋭まで幅広く起用された。
『フォークロア2 あの風が吹いた日』は、松田にとって初の監督作で、美しくも悲しいラブストーリーに仕上がった。高校生のミカ(高橋春織)は、憧れの歌手ケン(森崎ウィン)のコンサートに行くためにアルバイトに励んでいる。ある日、ミカは公園でひとりの男性がギターを弾きながら作曲しているところに居合わせる。アドバイスを求められたミカは、その男性がケンであることに気が付く。
松田は、クー監督作『家族のレシピ』(2017)に出演しているが、クー監督は1990年代からの松田ファン。クー監督がコンサートに出向いたり、一緒にベルリン国際映画祭を訪れたりしたという。そんななか、食事中に話した松田の物語をクー監督が気に入り、約1年後に今作の監督の打診があったという。松田は「本当に驚いた」と言いつつも、「そんなに素晴らしいチャンスをいただけるなんて絶対に挑戦したいと思い、すぐにイエスと言いました」と即答したことを明かした。
今作での演出に関してもクー監督に影響を受けたといい、「彼の役者とのコミュニケーションの取り方が本当に素晴らしかった。心優しく、情熱を持ってみんなで心を一つにして作品を作り上げるという(クー監督の)心が好きだった」と、役者としての経験を監督に生かしたようだ。
ケン役については、松田監督のなかに「イメージがすごくはっきりとあった」という。「実際の歌手で、優しくて、繊細で、もちろんスマートで。そういうイメージの人と考えていたときに、森崎ウィンさんの映像とかお写真を拝見して、きっとケンにすごく相応しいんじゃないかと思いました。プロデューサーやエリックにも彼でどうかと聞いたら、満場一致で「He is perfect!(彼は完璧だね!)」とウィンさんに決まりました」とほほ笑んだ。
ミカ役の高橋はオーディションで見出したといい、「春織さんが本当にピュアな透明感のある素晴らしい女優さんだったので、絶対に彼女がミカにぴったりだなと思いました」と述懐した。
コロナ禍での撮影となったが、「確かに環境が難しいことはありましたが、現場自体は夢のようなスタッフさんに恵まれて、本当に素晴らしい撮影ができたと思っています」と自負。「季節も本当に寒くて、夜中の撮影が多かったので、みんな極寒のなかでやりました。風の強かったので、そういう環境も厳しかったですが、だからこそみんなが本当に力を合わせてやったというありがたい撮影でしたね」と振り返った。
さらに、今後の監督としての展望を聞かれると、「今回は皆さんのおかげで素晴らしい経験をさせていただいて、勉強することもたくさんありました。この経験を生かして、機会があったらぜひ次のプロジェクトも頑張ってやっていきたい。もっともっと勉強してチャレンジしていきたいと思っています」と意欲を見せた。
一方の『フォークロア2 お出かけ』は、家族の絆をテーマにしたゴースト・ストーリー。小学生のウェイミンと暮らす母親エンは、常に何かの気配を感じ、不眠に悩まされていた。一方のウェイミンは、学校で不思議な少年を目撃する。
ウッドフォード監督は、幽霊が出るという噂があるシンガポールの海からインスパイアされて制作したという今作で、「家族を亡くした遺族のトラウマはどういうものなのかを描きたかった」という。
「心理ドラマ、家族ドラマ、ホラーの要素があります。母親の目線で描いているのですが、息子が亡くなったということを母親がどう捉えているのか、そして息子の死からどうやって立ち直っていくのかという旅を描いた内容です。やがてその母親が考えていることが家族全員に影響をもたらし、最終的には真実が明かされます」と内容を説明した。
また、舞台となったシンガポールについて、「非常に現代的な都市でありながら古い言い伝えもあるという、解離がある感じがしますね」とその独特な雰囲気を語った。
第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。